「完全市場というフィクション 〜コーポレートファイナンス理論〜」108日目

ファイナンスの勉強が楽しくなってきました。

宮川壽夫先生の『新解釈 コーポレートファイナンス理論 「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?』がめちゃくちゃ面白いです。 

平易な文章とユニークなエピソードでコーポレートファイナンスの考え方が楽しく勉強できます。

 

ファイナンスでは「完全市場」というものが前提となります。税金もなく、取引のコストはゼロで、すべての情報は共有され、あらゆる契約関係が確実に履行される世界です。

「完全市場」を知ったときボクシングのルールのようだと思いました。制約が設けられることで、要素が絞り込まれ、シンプルに考えられるようになります。「完全市場」を想定することがコーポレートファイナンス理論を発展させました。

 

もちろん現実は「完全市場」ではありません。株の売買には税金や手数料がかかります。望んだ買い手を探すことが難しいことも少なくありません。株主と経営者が持つ情報にはギャップがあり、契約関係はあいまいさを残します。

だからこそ、企業に差別化する余地が生まれます。他と違うことが価値になります。チャレンジする意欲に繋がります。

ファイナンスは未来志向です。確実な未来は誰にもわかりません。だから「完全市場」というフィクションと「不完全な」現実どちらも意味があるのだと思います。

コーポレートファイナンス理論は、自分の頭で未来を考えるよくできた道具のように思えてきました。