「パン屋さんで考える垂直分業・水平分業」50日目

組織デザインを考えるとき1丁目1番地は「分業」を理解することだと思います。組織は仕事を分けて実行する集団だからです。

 

分業について勉強になる本といえば、沼上幹先生の『組織デザイン』です。

中でもパン屋さんの事例が本当にわかりやすいです。本の内容を紹介しつつ復習していきます。

 

垂直分業と水平分業

まず、分業は大きく「垂直分業」と「水平分業」に分かれます。

「垂直分業」を簡単に言えば、頭を使う人と手を使う人の分業です。組織の目的を達成できる作戦を立てる経営者、その作戦を実行する労働者が良い例です。

「水平分業」の場合、1人が考えることも実行することも担当します。その代わり、何らかの軸で業務の範囲を集団の中で分け合います。経験上わかりやすいのはエリア制です。Aさんが広島県担当、Bさんが岡山県担当などです。

垂直分業は「考える」と「実行する」の2軸しかありません。一方で、水平分業を分ける軸は多彩です。仕事の工程の分け方そのものだからです。パン屋さんの事例で説明します。

 

機能別分業と並行分業

ここで一度分業の説明を離れて、パン屋さんの仕事を考えてみます。仕事の分け方は大きく2つの考え方になります。

まず、パンを作って売る工程に注目する分け方です。例えば、小麦粉をこねるステップ、パンの形にするステップ、焼くステップ、販売するステップに分けます。このステップひとつひとつの仕事を割り当てることを「機能別分業」と言います。「機能別分業」の特徴は各ステップでは工程が完結しないことです。どこかが止まると全体に影響します。

次に、パンの種類に注目する分け方です。食パン、ロールパン、メロンパン、クロワッサンなどパンの種類によって職人さんを担当制にしたとき「並行分業」と言います。水平分業のところで書いたエリア制も「並行分業」ですね。「並行分業」は「機能別分業」以上に独立性が高く、反対に協力関係が弱くなりがちです。得られる恩恵も限定的かもしれません。

 

分業のデザイン

「垂直分業」、「水平分業」、「機能別分業」、「並行分業」の4つの基本形を紹介しました。それぞれにメリット・デメリットがあります。共通費用の使い方や規模の経済、機械の活用などのメリット、働く人の意欲低下などのデメリットがあります。

仕事の内容を理解して、分業をデザインできると目的に合った組織を作ることができると思います。