ウサギとカメの寓話から学ぶことは多いです。
時間圧縮の不経済*1という概念に初めて触れたとき、僕はやはりこの寓話を思い出しました。
その経営資源を獲得するには過ぎ去った歴史をもう一度再生しなければならない
高橋宏幸『現代経営入門』p.84より引用
要するに時間をかけて手に入れた経営資源(ヒト・モノ・金・情報)は簡単には手に入らない、マネできないということです。
ウサギとカメの寓話で考えてみましょう。
カメの視点
最終的にカメはウサギに勝ちました。勝因は最初から最後まであきらめなかったことです。
勝利したカメが得たものは何でしょうか。"足の速いウサギに勝った"という称号、"森の動物たち"からの称賛などがありそうです。
つまり、ブランド資産を得たと言えます。
ウサギの視点
もし、居眠りから目覚めたウサギがカメに勝っちゃったら、どうなっていたでしょうか。カメと同じようにブランド資産が得られたと思いますか。おそらくそれはないでしょう。
カメは「負けて当たり前の勝負なのに」最後まであきらめなかったことで称賛されました。その文脈はウサギにはありません。
ウサギが目覚めて追いついた(時間圧縮)としても無駄(不経済)なのです。
カメとカメの競争
時間圧縮の不経済は自分の会社を有利にします。うまく機能すれば、マネされて安いパチモンが市場にあふれなくなります。安定した市場ほどその価値は高まります。
不安定で不確実で複雑で曖昧な(VUCA)の時代ではどうでしょう。それでも時間圧縮の不経済は強みだと思います。希少性など他の特徴の経営資源と組み合わせることで、長く戦える戦略の源になるでしょう。
*1:time compression diseconomies