労働時間規制に続いて、賃金についてまとめます。
細かいところを抜け漏れなくというより、ざっくり全体像がわかるようことを目指します。
賃金になるもの、ならないもの
そもそも賃金とは、労働者が労働したことに対して会社が支払うものです。名称が変わってもこの性質があるものは賃金になります。その上で、就業規則に支給要件が定められていれば、手当も結婚祝金も弔慰金も賃金になります。また、支給が慣例となっているものも賃金とみなされることがあります。
賃金支払いのルールは?
5つの原則があります。通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、定期的に支払わなければなりません。所得税や社会保険料などは天引きできますが、旅行積立金や食事代を給料から勝手に引くことはできません。また、年俸制であっても毎月決まった日に支払います。
その他、従業員から出産や病気などで請求があった場合すでに働いた分を非常時払いとして支払うルールがあります。国籍、信条、社会的身分で賃金を差別することは許されません。
最低賃金とは?
従業員に支払う賃金は最低賃金以上でなければなりません。最低賃金は都道府県単位で決められており、毎年改定されます。最低賃金額は時給で示されます。
最低賃金の計算には「毎月支払われる基本的な賃金」が使われます。賞与や深夜手当、残業手当やさまざまな手当は除外されます。
休業手当とは?
会社の都合による休業中は、従業員の生活を最低限保障するための賃金を休業手当として支払わなければなりません。製造業で工場を止めて従業員に自宅待機をしてもらうときなどです。材料不足や機械の故障、資金繰りなど幅広いケースがありえます。一方で、自然災害や不可抗力、従業員がストライキを起こして休業するときは休業手当は不要です。
休業手当の算定には平均賃金が使われます。業務上の負傷や産休・育休など計算から控除される期間があります。
割増賃金とは?
従業員に時間外労働や休日労働といった残業をさせる場合には36協定を結んで労働基準監督署に届け出なければなりません。そのとき、残業させた分の労働時間に対して上乗せするものが割増賃金です。また、深夜帯(22時〜翌5時)の深夜労働にも割増賃金を上乗せします。
割増賃金は、「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」で割増率が異なります。加えて、時間外労働時間が月60時間を超えると、超えた分の割増率が高くなる制度もあります。
次回は、休暇についてまとめます。たぶんこのシリーズあと1回です。
ぜひ最後もお付き合いください〜