「事業場外みなし、裁量労働制、高プロ 〜労働基準法まとめ3〜」71日目

労働時間関係はラストになります。

そもそも労働時間を管理することが相応しくない仕事がありますよね。そういう労働者に向けて、みなし労働時間を使えるようにする制度です。

前々回はすべての労働者の基本ルール、前回は一部の労働者の集団ルール、今回はさらに一部の労働者の集団と個人のルールと範囲が小さくなっていくイメージです。

 

事業業外のみなし労働時間制とは?

外回りの営業やテレワークなど、上司の目の届かないところで仕事をしていると実労働時間の把握が難しくなります。そうした労働者の中で、労働時間を算定することが難しい場合について、所定労働時間働いたものとみなす制度です。この制度で7時間とみなしたならば、5時間で終わった日も8時間かかった日も7時間働いたことになります。

注意すべき点は、会社が管理できている場合には使えないということです。携帯電話で細かく指示をしている、訪問先や帰社時間など具体的な指示がある、行動をリーダーが管理できるなどの場合、いずれも使うことができません。

みなし労働時間制を使うには、みなしの所定労働時間を就業時間に定めます。法定労働時間の8時間を超える場合は、労使協定を結んで労働基準監督署に届け出る必要があります。超える分の割増賃金も支払います。

 

専門業務型裁量労働制とは?

研究開発やシステム設計、編集など進行や時間配分を労働者に委ねなければならない仕事があります。この場合に、実労働時間に関わらず労使協定で定めた労働時間を働いたものとみなす制度です。

この制度は厚生労働省に認められた仕事でなければ使うことができません。その上で、会社が業務の進め方や時間配分について具体的な指示をしないことが条件になります。チームで仕事をしていてリーダーの指示で働いてる部下などは認められない可能性が高くなります。

専門業務型裁量労働制を導入するには、労使協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。協定書には業務の内容に加えて、健康・福祉確保措置や苦情処理体制について定めます。

 

企画業務型裁量労働制とは?

会社の中枢部門で企画・立案などの業務に携わる労働者に対して、みなし労働時間を認める制度です。

専門業務型と違う点は、対象となる事業場が本社・本店など会社経営の中枢であること、導入に労使委員会の設置が必要なことです。また、対象となる従業員本人の同意を得ることも必要です。

実施した後も6か月以内に1回は労働基準監督署に定期報告し、記録を3年間保存なければなりません。このように要件が厳しく手順も煩雑なので、小規模の会社で導入することは難しいのかもしれません。

 

高度プロフェッショナル制度とは?

労働時間と生み出す成果の関連性が高くない業務の場合、いくつかの条件を満たすと時間外労働、休日労働、深夜労働の規制を受けなくなります。過重労働を防ぐために厳しい導入要件が定められています。

この制度では、健康管理時間として労働時間を把握し、4週間を通じて4日以上の休日を取得し、かつ年間104日の休日を確保します。加えて、健康・福祉確保措置も実施します。

やはり企画業務型裁量労働制と同様、中小企業では導入が難しい制度です。

 

改めて勉強して、労働基準法は労働時間規制が重要で複雑化していると思いました。ここから賃金が計算され、労働者の健康と安全が確保されていきます。

次回は賃金、その次に休暇をまとめていきます。年休まわりが深入りすると大変そうですね。